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過食症を経て、一つ一つの日常を見つめる記


by jengsauman

待たない、期待しない

今回の旅で、何人かの人と出会い、その人たちの思い込みをかわすのに大変だった。
だんだん、男の人とかかわることが面倒くさくなったけれど、その矢先の出会いでした。

香港系オーストラリア人のAは、帰りのデリーの空港の搭乗ゲートで私の前の席に座り、
話しかけてきた。私は悠長にウォークマンを聞きながら、日記などを書いていて、
全く知らなかったんだけど、台風で少なくとも12時間遅れになったらしかった。

話しかけられる前は、風貌から100%中国人と思い込んでいて、気付かないフリを
していた。が、彼が話す英語は、今までに聞いたことがないような、とてつもなく美しい
言葉だった。もう、なんていうか、硬直し、のちに興奮した。というか。

私は、音ふぇちである。広東語が大好きなのも、あの音がドツボだからだ。
しかし、英語にこんなに感動するなんて思いもしなかった。
もしかしたら、彼が広東語/英語話者だからなのかもしれない。

結局、13時間遅れで夜中3時半のフライトになったけれど、それまでの時間を
デリー市内のシャングリラホテルで過ごすことになり、私とAはトゥクトゥクにのって
街へくりだした。1人なら到底できなかったこと、いけなかったところへ、2人なら
安心してできるんだ、と思ったことが沢山沢山あった。

彼は、私が英語ができないからと、重要な局面では頼まなくても通訳してくれた。
でも、私が自分でできる範囲には決して手を出さなかった。
その恩着せがましくなさと、自然さが、私はとても気に入って、心地よかった。
弟みたいな感じだった。5歳も年下だけど、時には兄のようでもあり、弟のようでもあった。

何より、彼と話すことで、私の頭のすみっこにあった広東語が、少しずつ出てきたり、
出てこなかったりして、リアルになったことがうれしかった。
私がずっと考えていたことは全部机上のことで、今こうして目の前に広東語でしか
コミュニケーションできない人がいる、ということほど、頭で考えることを止める有益な
方法はないんだとやはり感じた。

彼とは香港まで一緒だったけど、別れ際はあっさりだった。
旅での出会いとはそういうもんだけれど、メールアドレスを交換したのに
メールは来ない。一緒に撮った写真を送ってもらうようにメールしてみようかと思ったが、
自分から送るのもな、と躊躇していたところ、ひろちゃんに「あんたあほか?」と言われた。

後悔しない生き方とは本当に難しい。自分が思ったことは、待たない、そして相手に期待しない。自分から、アクションする。たとえ失敗しても、後悔しないんだという覚悟さえもてば、怖いことなんてない。
by jengsauman | 2008-09-27 03:27 |